時流

機動戦士ガンダム 連邦VS.ジオンDX」がゲーセンから消えつつある。
2、3年ほど前にかなりヒットし、続編が登場してもなおこの路線の存続を望むファンが多くいたほどの人気作だった。
しかしさすがにアーケードゲームの寿命の限界にきてしまったようだ。地元のゲーセンでも4→2台に削減され、一番の醍醐味である4人対戦はもはや不可能となってしまった。
この「ガンダムVS.」シリーズはアーケードで4作品出ているが、2作目であるこの「連ジDX」が最高傑作であると考えるファンは少なくない。かく言う自分もその一人である。

新作になるにつれ、ゲームの要素は多くなり、ボリュームは増している。
登場機体数は倍以上になり、いろいろなシステムも追加された。
その点だけ見れば、最新作である「機動戦士Zガンダム エゥーゴVS.ティターンズDX」はもっとも面白い。しかし3作目の「Z」以降、ある決定的な欠点がこのゲームに巣食ってしまった。それは表面上のゲーム要素だけからは読み取れない、実際にやってみないとわからない「違和感」である。「爽快感」が失われた、と評した人もいた。その表現は間違っていないと思う。前作と同じように操作しても、どこか鈍い。フィードバック率が極端に落ちたというか。とにかく妙に操作性が悪くなったように感じるのだ。ゲームとプレイヤーの意思を結ぶインターフェースレベルにおける欠陥。これはゲームによっては致命的だ。
ただここで注目したいのは、これが相対的な問題であるということだ。
「ZDX」から初めてこのシリーズに入った人にとっては、上のような問題はまったく感じないだろう。ゼロの状態から、その作品に対して体が慣れていくのだから。それに対して、前作からプレイしている人にとっては、スペックダウンを感じるのは当然のことだ。なんだか自分に合わない最新型の自転車にずっと乗り続けなければならなくなったようなものといえる。だが最新型の自転車がもっとも乗りやすいに違いない、人がそう信じるのは至極当然だろう。
つまり何が言いたいのかというと、シリーズというのは、前作より上を常に期待されているということだ。ネームバリューに乗せてリリースする以上、少なくとも前作の面白さを引き継いだモノにしなくてはならない。ただ、このガンダムシリーズをやってみると、ファースト→Zの移り変わりで開発陣が変わっているのがハッキリとわかる。「連ジDX」があまりにも神調整だったためそれを維持するのすら相当な困難であったことは想像に難くない。

ゲームのシステム自体は完成された面白い作品であっただけに、「Z」以降はプレイヤーも離れられずズルズルとついてきてしまうという皮肉な結果になってしまった。なんていうか、とても不幸なゲームだ。言わばどんどんと改悪されていく様を見るようで、正直心が痛むんだよね本当のところ。
しかしその次回作はSEEDだという話だし…今度こそ本当に引導か。